
八王子社
海の神。船の神。そして、犬嫌いの神。
集落の路地を抜けると、紫の幟が立っています。注連縄のかかった鳥居。その奥に、石段。
登りきると、木の社殿が一棟だけ立っています。大舟から、歩いて二分ほどです。
この社の神が、正月三日の夜、島じゅうの灯りを消させます。
「八王子」という名前のこと

天照大神と素戔嗚尊が誓約(うけい)を行ったとき、五柱の男神と三柱の女神が生まれたと『古事記』『日本書紀』は伝えます。五男三女神——あわせて八柱。
この八柱の御子神をお祀りしているので、八王子社といいます。
神明神社が女宮、八王子社が男宮。二社は、この島でひと組です。
| 御祭神 | 天忍穂耳命・天之菩卑能命・天津日子根命・活津日子根命・熊野久須毘命 多紀理毘売命・市寸島比売命・多岐都比売命 天照大神と素戔嗚尊の誓約によって生まれた五男三女神 |
|---|---|
| 創建 | 正応元年(1288年)九月 伊勢国度会郡の箕曲大社より勧請と伝わります |
| 御神徳 | 海上守護・造船・航海安全 |
| 鎮座地 | 愛知県知多郡南知多町篠島字堂山 |
| 大舟から | 徒歩約2分 |
| 篠島港から | 徒歩約12分 |
| 参拝 | 境内自由 ペットを連れての入場はできません |
八王子社の歴史

八王子社は海の神であり、船の神として尊信されています。鎌倉時代中期の正応元年(1288年)に、伊勢国度会郡の箕曲大社より勧請した神社として伝えられています。それ以前から、この地に海の神が祀られていたという説もあります。
社殿は神明神社と同様に伊勢神宮の御遷宮の折りに造営されていましたが、中古以来は、神明神社の御古材によって八王子社の社殿を造営しており、八王子社の御古材もまた、島内のお社へ移されます。
永正14年(1517年)には、箕曲大社の神官が獅子頭八頭を度会郡山田郷の8社に納め、そのうち一頭が八王子社に奉納され、御神宝として大切に守られています。
この社殿も、伊勢から来ました
八王子社の柱は、二十年前まで神明神社の社殿でした。
そのさらに二十年前は、伊勢神宮に建っていました。
- 伊勢神宮 内宮 東宝殿・西宝殿として建つ。御垣内に囲まれ、参拝者が近くで見ることはできません。 20 years
- 篠島 神明神社 下賜された御古材で社殿を建て替え。伊勢では見られない社殿が、目の前に立ちます。 + 20 years
- 篠島 八王子社 役目を終えた神明神社の社殿が、こんどは八王子社の社殿になります。 + 20 years
- 島の小さな社へ 八王子社の御古材は、島に点在する祠へ。柱は、まだ終わりません。 + 20 years
一本の柱は、伊勢での二十年を含めて八十年を生きます。壊すのではなく、役割を変えながら、島の中を下っていきます。
伊勢神宮の社殿一式を、いまも移し続けているのは全国で篠島だけといわれています。この石段の上に立っているのは、その途中の姿です。
境内で、見ておきたいもの
鳥居と石段
由緒碑
説明板




犬を嫌う神
篠島では新年三日の夜に、八王子社の神「オジンジキサマ」が神明神社に渡るとされており、部屋の明かりを消し、物音も立てずに、島の人々はみんな家にこもるのが風習になっていました。
ある年、そのお渡りの最中に犬が吠えた。神事は無事終わったものの、それ以来海が荒れてしまい、漁業ができなくなってしまった。海を鎮めて欲しいと八王子社へ祈願に行くと、狛犬が台座から転げ落ちた。拾って置き直したのだが、翌日行くとまた落ちている。それが続いたので、八王子の神様は犬が嫌いで、怒って海を荒らしていると考えられた。
そして、島から犬を追い出すことが決まった。狛犬も医徳院へ移すと、ようやく海は静まり、漁業ができるようになったという——。
いまも、両社ともペットを連れての参拝はできません。言い伝えは、まだ生きています。
オジンジキサマ
この社から、年に一度、神が出ていきます。

正月三日の夕方。八王子社の神が、神明神社の女性神のもとへ渡ります。「オワタリ」です。
御神体は、紙垂(しで)に覆われた直径一メートルほどの塊。その下は、永正十四年に奉納されたという獅子頭だと言われています。運ぶのは「庁屋の人」と呼ばれる人々。神体に触れるために、寒中の海で身を清めてから臨みます。
この神事を見ると、目が見えなくなる。そう伝えられているため、オワタリの時間だけ島中の送電が止まります。街灯も、家の灯りも、宿の灯りも。観光客も見ることは許されません。十五分から三十分ほど、島は星明かりだけになります。
八王子社のそばに住む人は、神殿の扉が開く音を聞かないよう、幼い子を島外の親類に預けることもあったといいます。
翌四日、この社へ帰ってくる
一夜を過ごした神が、大名行列に守られて八王子社へ戻ります。行列が通る前浜、奴踊りが舞われる篠島海水浴場は、いずれも大舟の目の前の浜です。
- 開催日は例年1月3日・4日ですが、年によって日程・規模が変わることがあります。おでかけ前に篠島観光協会へご確認ください。
- オワタリの時間帯は、館内も消灯し、カーテンを閉めてお過ごしいただきます。外に出ることはできません。
- 年末年始のご宿泊・お食事は正月料金となります。詳しくはお電話でおたずねください。
参拝のご質問
大舟から歩いて行けますか。
歩けます。八王子社まで徒歩2分ほど、神明神社まで徒歩3分ほどです。二社のあいだも徒歩5分ほどですので、チェックイン前やお帰りの朝に、あわせてお参りいただけます。
石段はきついですか。
参道は石段です。段数はさほど多くありませんが、手すりのない区間があります。足元の安定した靴でお越しください。
拝観料や、参拝できる時間は決まっていますか。
拝観料はありません。境内は自由にお参りいただけます。木立に囲まれているため夕方以降は暗くなります。明るいうちのご参拝をおすすめします。
ペットを連れて入れますか。
入れません。八王子社の神様は犬を嫌うという言い伝えがあり、神明神社とあわせて、ペットを連れての入場はできません。
オジンジキサマを見ることはできますか。
できません。見ると目が見えなくなると伝えられており、島の人も観光客も、オワタリの様子を見ることは固く禁じられています。この時間は島全体が消灯し、宿の中でお過ごしいただくことになります。
島の朝日は、
泊まった人だけのものです。
ご予約は現在お電話のみで承っております。アレルギーや苦手な食材、お子様のご事情、港からの送迎も、その場でうかがいます。
0569-67-2132 港からの無料送迎のご相談もこちらへ